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2004.06.12 「ロボットの学習1「弁別について」」

◆1.言葉の多様性
カナダ北部など北極海の沿岸部にすむエスキモー(イヌイット)は「氷」を表現するのに24の言葉をもちいると、文化人類学の研究知見で分かっています。アメリカ先住民のインディアン、ナバホー族はアリゾナ州やユタ州といった荒涼地帯に住んでいましたが、茶色の表現に36通りの固有の言葉があります。

◆2.言葉は生活
エスキモーもナバホー族も、それらの言葉は「薄氷」とか「こげ茶色」といったような形容詞があれこれ付いたものでなく、キッチリ、別々な言い回しをします。エスキモーにとって、自分が獲物をもとめて歩き回る氷が安全かどうか状況を理解していないと、もし割れて極寒の水中に落ちたら数十秒で凍死です。ナバホー族には、砂漠に潜む敵や獲物をいち早く発見しなくてはなりません。プレーリードッグは獲物ですが、近くにはコヨーテや狼などがいて、ヘマをすると立場は逆転します。

◆3.言葉は主観
反対に南国のタイ国には「氷」をあらわす言葉はひとつだけです。硬い水(ナムケン)といいます。製氷機能のついた冷蔵庫がなかった頃までは、自然の状態ではタイ人は氷を見ることが稀だったためでしょう。また「水色」というと日本人は、青いウォーターブルーをイメージしますが、彼らは濁った泥水を連想します。大洋の真っ青な海の色でなく、母なる大河メナムの泥水こそが「水色」なのです。最初、それを知ったときには私も驚きました。

そうです。言葉はそれを話す民族(文化的集団)の認知世界の体系にほかなりません。

◆4.言葉は価値
言葉を多様に駆使するということは、それが意味する対象が細かく定義されていることと同義です。うっかり間違えると生活のリズムが狂います。それで毎回、当事者たちで「コレはこのこと」と決めていく煩雑さを避けるために、言葉が細かく分岐されていったと、文化人類学者は考えています。

アラブ世界にはラクダを、たとえば1歳のメスはなになにという名前、2歳のオスはどうこうといった名前のように、性別と年齢で細かく定義しています。
それは価格が違うからです。ちょうど日本でカローラとかレガシー、アコード、スカイラインという区別がきっちりした意味をもつように。「02年式のシビック・無事故・走行1万キロ」とあれば、おおよその値段が決まりますから。
自動車のオークション現場では、このような情報はもちろん必須アイテムで、なくてはなりません。

◆5.キッチリ情報とホンワカ情報
このごろ食品や農産物もいろいろな情報が付いてくるようになりました。「このホウレンソウは千葉勝浦のどこそこで採れ、山田太郎さんと芳子さん夫婦の手作り」とか。そのタグ(シール)がもたらすキッチリ情報は、産地と生産者のほかに有機かどうかといった安全面や生産者の「自信の程・心意気」なども見てとれます。すると消費者はキッチリ情報のほかにホンワカ情報も手に入り、安心できます。ここに付加価値ができたのです。

1束のホウレンソウに付けられたタグには商品名・産地名・生産者名のほかに、こうした付帯情報がつくと、一気に値段がアップします。かつてはデタラメさの代名詞のようだった農産物や食品管理ですが、昨今の消費者のキビシイ目のために、こうしたことが必要になったのでしょう。

◆6.言葉の指示範囲
モノには名前が通常は付いています。
車ではメーカー名とそこで付けられた商標名がまずあります。ついで必要とあらばの順番に、排気量、ワゴンか乗用車かといったタイプ、何人乗りかといった付加情報がついて回ります。さらには燃費、ハイブリッド(内燃機関と蓄電池)、色合いなども関係者には重要な情報のはずです。

ところが人種差別ではありませんが、アフリカのホッテントット族やマサイ族という草原を駆け回る狩猟系民族にとっては「単なるクルマ」でしかありません。詳細に定義づけたパンフレットを手渡しても彼(マサイ族のンゴロ君)には、ブーブーと走る邪魔なやつの印象しかありません。それは、せっかく部族あげてヌーを追いかけていたのに、突然やってきてカメラを回していたヨソモノが乗っていたクルマ。

◆7.情報が適切な環境外で使用されると
ほかにも邪魔な情報は、場の雰囲気を揺るがします。
集団見合い会場で、相手の女性にむかって男性の見合い候補が「私のセルシオでお送りしましょう」といえば、別な情報をもたらします。車オークションでは、モチロン必須情報ですが、見合いという初めての出会い場所で車種を表明することは、そのことの「所有」がもつ別な意味を伝達しようとしています。相手は「オッ金持ちだ。ゲット!」と考えたか、「鼻持ちならない嫌なやつ」と考えたか、それは二人の関係に影響します。

広告代理店といったギョーカイ人間、ITのニワカ成金などはよく六本木で「ボクのフェラーリで○○○」と言ってるそうです。光技術もないくせに「光ノロシ通信」とか看板かかげてた超成金・超没落を経験したヒシゲタクンもその仲間。東京ヨシモト。

◆8.言葉範疇には階層がある
私たちのロボット、シンシパル君はそうした「場にふさわしい」言葉解釈ができるようになりました。コーヒーをヒーコーと逆に発音したりして気取るテレビ業界の人間たちのような、プッとくる(とほほ)ユーモアには欠けますが、きっちりと意思の伝達が可能です。この発言者が言いたいことは詳細情報の固有な意味を持つ排他的名詞なのか、広域領域の代用語なのか、それによって何を伝達したいのか。こうした微妙な解釈がロボットなのに出来るようになったのです。

それは言葉の定義が段階と層とで複雑にカテゴライズされた賜物です。ギョーカイ人間ベムたちが、エスキモーやナバホーのように言葉を大切にしないのは仕事に真剣でないからです。テキトーな言葉遣いでも、むしろ面白がられてデキル人間と錯覚されるからでしょう。日本語をダメにしているのは公務員も同じですが。

例えばの紹介ですが、寿司屋の大きな茶碗にあるような「魚」で説明しましょう。

鯖:関サバ、締めサバ、ジンマシン、安い寿司、DHA、おいしい=普通の日本人
鯖:食べられるか=普通のマサイ族(内陸生活で見たことないけど)

鮫:フカヒレ、中華、殺人ザメ、ジョーズ、映画=普通の日本人
鮫:食べられるか=普通のマサイ族(危険そうだけど、見たことないけど)

日本人が歩いていて、「サバを食べたい」と発言したとき、その人は安い寿司屋に入りたいのか、大分県にいたり東京の大分郷土料理店の前にいたりして発言したのか、または健康によいDHAを意味したのか、文脈で理解しなくてはなりません。マサイ族はサバという言葉すらも知りませんが、もし仮に見ても食材としか考えないでしょう。

◆9.ロボットには頭脳が必要
伝達したい言葉の上下・水平での意味をその範疇で自由自在に操れるようになると、人工知能が完成段階に入ったといえるのではないでしょうか。トヨタやソニーがロボットみたいな機械に楽器を演奏させても、それは単なるカラクリ人形です。近い将来、アメリカ国防省はカラクリ人形を使って、人間が乗らなくても動く殺人兵器を戦場に送ろうと躍起になっています。その手先になってはいけません。
ロボットは人間の仲間です。

今年の3月、ロッキー山脈の半砂漠地帯で、全米から約100の大学・企業が無人のロボットが運転する走行競技を行いました。現在、人工知能の世界ではトップと思われているカーネギーメロン大学が目標200キロの課題に失敗し、12キロ走って壊れました。でも2〜3年の間には、無人カーが走破するだろうと想定されています。トヨタのハイラックスに積まれたロボットも、ハンドル操作をあやまり無惨にも横転していました。

ヘリコプターや小型飛行機ではすでに無人偵察機が開発され、それらはイラクやアフガニスタンで索敵作戦に今も従事しています。偵察だけではありません。精密ミサイルのトマホークに搭載されている照準レーダーはアノ日本企業のもの。宇宙空間から敵情視察する精密カメラはソノ企業のものなど、すでにアメリカ軍に「活用」されている日本の高度技術が多数あることは有名です。楽器を上手に弾けるということは、その指先で寸秒・寸分たがわず、液晶画面に写った人型映像に向けて、機関銃やトマホークの発射ボタンを引けるということです。無言のまま。

◆10.ロボットを戦場に送らない
それで本当にいいのでしょうか。強い国が利益のためにヨソの国民を戦争という名のもと、平気で殺していいのでしょうか。それが政治的な意図や関心でなくても。

私たちはロボットの戦争参加に反対します。ロボットは仲間です。ですから、何も考えずに人間を撃ち殺せる兵器を作るのでなく、自分で考えることのできるロボット作りを目指しています。技術は人間の幸せのためにあるべき。ハヤカワ教授のおっしゃっていた一般意味論(ゼネラル・セマンティクス)が、人間型ロボットを可能にしています。考えることができる私たちの仲間。それでシンシパル(前頭葉をもつ仲間)といいます。

文化の衝突が起きているイスラム圏とその境界線。そうした対立は普遍的に経済の軋轢なのですが、通常は感情に受け入れやすいようにビジブル(可視的)な差異をとります。で、宗教がもっともケンカの種になっています。どんな宗祖もみな、ケンカしないようにと願ったはずなのに。

シンシパル君は複雑な文章表現をやさしく解読し、人々の生活に貢献したいと考えて作られ、文化コレスポンダー(連携役、交信役)をめざします。





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