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2005.10.02 「戦力とは」

先週のコラムで、「一人でできないことも、みんなでやれば可能」と書いた。もともと組織とは、個人では成しえない目的を達成するためにできた、合目的的な「機能集団」だからだ。しかし、その説明というかレッテルのために、しばしば私たちは組織のありかたを見失い、ひどいときには反機能させてしまう。

3人寄れば文殊の知恵という。ごくごく普通の人でも3人集まると、お釈迦様のそばで知と創造力、学芸に秀でた文殊仏に匹敵するというタトエだ。ある意味(集団性や社会論)では正しく的を射ているが、組織のありかたからいうと実は、この言葉は大衆を惑わせる格言でもあった。

暴徒(モッブ)の集まりは言うに及ばず、群集とはただの人々の集合・集団でしかない。目的を持ち合わせたかどうかの違いがあるにしろ、いずれにしろ群れに過ぎない。しかしラグビーチームのように戦うために編成されたチームともなれば、単に烏合の衆では敵に勝てない。組織の最適モデルといえば昔から軍隊であったことを考えると、組織には命令の伝達、実行と判断が欠かせないが、例えばパンを求めて集まったフランス革命の市民群集には初期には命令系統がなく、ルイ16世の軍隊に蹴散らされた。

神戸製鋼スティーラーズがただの寄せ集め、世をしのぶ仮の姿で、極論すれば食うための編成であるというのならば、もう私は何も言わない。有名になりたいとかの邪心でなく、強いチームを作りたい、その一員でいたいと思う選手がいるだろうと考え、こうして組織論や戦力論を書いている。

強いチームは選手そのものからして違うという俗説があるが、統計学からみれば、各選手の体力はそれほど差がないものだ。各チームの選手のフィジカルデータを集計すると、あまり差がないのがよくわかる。選手というからには「選ばれた」人であり、優秀な体力をもともと持ち合わせているからだろう。読売巨人はあんなに個人データが優れた集団だったのに、戦う組織になれなかった。巨人軍でなく巨人群だった。それも体格と年俸が大きいだけの。

シーズンが終わったときには、各チームに与えれた成績が全てを物語る。結果が明らかになっている。それはナゼだろうか。一般ピープルより優れた体力の持ち主同士が集まってチームを形成し、たがいに競争する。個々の力はあまり差がないのに、組織としては大きな差。

さて、「3人寄れば文殊の知恵」に戻って考えよう。

お釈迦様のそばにいて知恵の化身といわれた文殊様は、きっと平均値を大きく超えた「すぐれもの」だったろう。平均値を数字の「1」としておくと分かりやすいが、では文殊様は数字にすると「2く」くらいはあったと推定される。もっと大きかったに違いないが、説明の単純化のためにあえて2にしておく。そうすると、3人寄ると文殊様に匹敵するとされた庶民は0.7程度であろうか。ゼロ(0)が無知、2が最高水準として、今、論議している。0.7+0.7+0.7=2.1で文殊様に数では匹敵するので、これが「3人寄れば・・・」の格言趣旨であったのだろうか。

大衆を惑わせた組織論の誤謬はここにあった。

人が単に集まっただけでは群集や暴徒でしかない。そこには命令系統がなく、当然、有機的な行動がとれない。欲望と勢いだけで流れができ、いつしか目的が群れることだけになる。目的をもった集団であるチームには有効に目的達成をするために意思の伝達をスムーズにおこなうべく命令系統が機能している。ここが大差なのだ。メンバーの意思(気持ち、考え、意見など)を仲間たちが即座にキャッチしあい、誰が何をどのように考え行動しているかが把握されている。メンバー同士が「分かっている」のだ。

このことをインタラクションという。相互作用とでも訳そうか、メンバー間の相互の意思伝達のされかただ。

相互に働きかけあう組織と、あるいは、ただ人々が群れている集団とでは明確なカラーの違い、機能の違いがある。そして問題はここからだが、相互作用の組織では、互いのメンバーの存在そのことが相手に圧力ともなり、促進要因ともなる。メンバーが相互作用し、このことから単純に数の足し算でなく、互いの存在の掛け算となるのだ。核融合のように、一定条件を整えると自らが自らに働きかけるもの、それが組織なのだ。ある時間をすぎると解散していく集団との決定的な違いは、ここにある。

集団ではメンバーは足し算の論理でよかった。群れている集団の大きさに意味があったからだ。ところが組織では掛け算の論理をとる。極端な説明でいうと。「アイツがそういうのなら俺は」「そんなんでいいのなら、オレだって」「さぼってても給料もらえるなら私も・・・」というように、次々と一つの事実(fact)が新しい事態を展開していく。ひどいときは、手に負えないことも容易に起きていく。

そして悲惨な事実。掛け算では小数点未満がいると、累々と掛け算をすると、やがてゼロに向かわざるを得ない。0.7×0.7×0.7=0.343であり、庶民が3人寄ると文殊様をもしのぐ知恵になれた集団が、組織だと0.343という目もあてられない低能力集団に化けてしまう。小数点未満の掛け算は、極限値がゼロになるという数学の必然なのだ。

神戸製鋼ラグビー部には、小数点未満の選手が少なからずいるのではないだろうか。そして彼らはラグビーに情熱を燃やすより、有名人と交流したりマスコミにでたがったり、目的を逸脱しだしているように思えてならない。残念。



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