企業はいつもそうだが、今この瞬間も新技術の開発にしのぎを削っている。技術革新をめざす学会ができたり、新技術に関するシンポジウムが頻繁に開催されたりしている。先日、そうしたトップ集団を走っている指導的技術者が、なんと弊社を訪ねてこられた。ビックリ。訪問の目的は、人工知能シンシパル君だという。

シンシパル君が複雑な定性情報を定量化して、意図や意味内容を計算できることや、近未来の予測に援用できる才能を具備したことは紹介した。世間では文章カット、単語のつなぎ具合をテキストマイニングとか言うらしいが、弊社では貴重な宝物の発見法、つまり「質的データ」の解読と位置付けている。

犬が走る、犬がいる、犬がいない・・・とかの係り受けとか申すんですかナ、そんな軽技術をテキストマイニングというのなら、それもしかたない。どうやら、犬とは走ったり、いたり、いなかったりするらしいけど、そんな幼児も知っていることをいまさら発見してみて、何が嬉しいのでしょうか。

TRIZの中心的な役割を果たし、大きな業績を上げてきた関西の大手電器メーカーの経営幹部が、先日、モーレツな嵐をおしておいでになった。「シンシパル君を新技術の開発のために使わせてほしい」と。聞けば、シンシパル君のもつ能力はTRIZ運動に欠かせないものだとか。

定性情報を意味内容(セマンティクス）としてまとめあげ、必要に応じて概念形成を上下に変動する。これが人工知能シンシパル君のいいところであり、世に出すために私たちが苦労したメインであった。

彼シンシパル君はテキスト情報から「意味の連結」をし、発言者（生活者）の意図を因子としてくくりだす。その発言人数、購買意欲、使用満足度などを目的変数のYとすると、それに対応する原因変数の関与の仕方を数式にして教えてくれる。

この発言をしている集団はコウしてほしく、購買頻度は高くて、改善されたらもっと購買率が高まると分かっている。または、価格についての発言をした集団は、実は「わが社の顧客でなく」、ただ思いつきでしゃべっただけで、もしも意見どおりに実行したとしても、彼らは購入しないよ、とか。

そうした能力がシンシパル君にあることが、なんだか最近、いろいろ騒がれだした。ホントなのか、そんな才能がロボットにあるとは。

大丈夫、本当にあります。まだ6社にしか渡してないけどね。シンシパルの予測計算能力は、もう開発者の私さえ舌を巻く。

TRIZについては、いろいろな書籍・文献・HPにかかれているので割愛するが、新しい特許の登場必然性を考えさせられる。または、なぜあの技術を使った商品は陳腐化したか、どうすればテコ入れでたのか、とか。技術の進化の中で、まだ不足している未知の分野は何か、どれがあればいいのか。それが特許技術として、開発されるべきものなのか。そうしたことを気づかせる学問分野のTRIZに、シンシパル君はお招きをうけた。

もはやテキストマイニングは、ヘタな単語の組み合わせゴッコではない。実用して何がしかの経済的な知的発見がないといけない。犬がほえる、犬と猫、といった単語連結で面白がっているような人々には、いいオモチャかも知れないが、実際は「使えない」とかの苦情が集中している。そうだろね。購入した人が求めたものはナレッジだったのに、手にしたのは幼児のオモチャ積み木遊びでは。イヌ、ネコ、ハシル、ネル・・・。

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