下の図は、先日のセミナーで紹介した携帯4社のパンフレットの分析結果です。今回のセミナー用に、携帯会社の店頭に置いてあるパンフレットの文字(テキスト)を分析してみました。各社、いろいろな“売りことば”を謳っていますが、弊社のテキスト解析ツール「Sinsipal 3号」で分析をすると、面白い結果になりました。
図を拡大してみたいときは図をクリックして、戻したいときは「戻る」を押してください。
これは判別分析という多変量解析のひとつです。携帯4社がパンフレットで説明している文章を解析しました。文章はそもそも定性情報です。それをIT技術を使って計算できるようにしました。定性情報の定量化です。統計処理が可能になったので、こうして図解され解析結果が誰にでもわかりやすく「見える化」できました。
左端にあるwillcomが必死になっています。数少ない機種しかなく、ただただ通信価格の安さだけを主張しています。判別分析とは互いに位置の離れた集団が異質な存在だと判定されるのです。
それと正反対に位置するdocomoは、機種はもっとも多数抱えていますが、こちらもwillcomとは別次元ですが、必死の形相でパンフレットで説明しています。それは、みんなアップルが提供しているiphoneが恐怖であり、なんとか自社のスマートホンを売りだしたいのです。
auも必死こいています。でもカカクコムというサイトでの、ユーザー書き込み評価は最低です。携帯各社のパンフだけでなく、消費者たちの書き込みも分析しました。
そんな中でSoftBankだけが(各社パンフの比較では)中央に位置して、のんびりとした姿勢をとっています。
スマートホンに出遅れた3社がゼェゼェと息切らして追いつこうとしているのに、先行した有利さとiphoneをもつ強みから、SoftBankは落ち着いた発言に終始しています。
このほかにも4社のパンフレット文章を主成分分析にかけています。各社の発言方向が消費者の要望と大きく食い違っていて、悲しいけど笑えます。私たちは顧客の声を聞いています、とかなんとかいいながら、キャリア4社は顧客の声なんか一顧だにしていません。自分たちの言いたい放題をパンフに書きちらしているだけです。
高規格の1280万画素のCCD搭載だの、動画がみえるだの、アプリがダウンロードできるだの上流発信ばかりしていて、下流にいる顧客の要望など無視しています。顧客たちの要望は「サクサク操作できること」「バッテリーが長持ちしてほしいこと」「通信費を安くして」などです。
このままだとwillcomは早晩、スマホ市場から撤退することになるのでしょうか。心配です。そうならないためにはもっと顧客の要望をしっかり聞くことです。docomoやauだって顧客無視の姿勢を修正したほうがよいでしょう。SoftBankもiphoneがあるから現状は余裕があるように見えますが、パンフに書いてある内容はあまりいばれたものではありません。
もしも今後SIMフリーになったり、アップルがauの使用電波帯に応じたiphoneを提供するなんてことになったら、一気に立場は逆転するでしょう。つながりにくいといわれるSoftBankから顧客の離脱は大きなうねりになるかもしれません。
意外と全国的につながりやすいauが漁夫の利をえたり、現在ガリバーのdocomoが2位とかに後退していたりとか、いろいろなことが想定できます。
それよりも、国内の携帯メーカーはもっとがんばれ。顧客の声のほうを聞くべきで、docomoなどのキャリアのいうことをきいていてもガラパゴスはもっと深刻になるだけですよ。アップルは日本の顧客のいうことをきいてiphoneをつくったのでなく、米国や世界の携帯ユーザーの希望を取り入れつくったのです。だから世界で売れてます。
顧客の声が分析できますと弊社が書いても、ケータイ各社は真に受けなかったものなあ。でも本当なんですよ。他業種の何社かはわが社の文章解読の技術をとりいれ、顧客の要望と真摯に向き合っています。
食品、素材産業、サービスなどですが、あいにく携帯メーカーはいません。その間に着々と我が国携帯はへんてこな方向に進み、気付いたらガラパゴスと嘲笑されていました。docomoなどのつまらないサービスにのめりこんでいたために。まだ間に合うかな、もうダメかな。
それから判別分析は、これまでのテキストマイニングのように適当に位置をずらしたり希望するところに配置したりという恣意的なものではありません。各発言は「しかるべきところ」にきちんと計算されて布置します。○○総研とかのテキストマイニングのようにいい加減ではなく、科学的に定量化されています。この図は、こうなるべき性質であり、そう国民が発言したからです。テキストマイニングは恣意的に適当に図をこしらえ(ねつ造)ますが、私たちはそんなことはしません。
|