先日、NHKの報道番組のようなもので、人工知能やビッグデータについて説明していた。最近、囲碁の世界でAIに人間の王者が負けてしまったことが話題になっているからなのだろうか、近い将来の科学の急速な発展について解説していた。
その中で、東京近郊のあるテーマパークにおいて、ビッグデータを使った新発見があったと報じられた。その分析でこれまで知られていなかったお客の購買行動がみつかった、と興奮気味に伝えていた。九州や北海道、四国などの遠距離からきた顧客は、悪天候をものともせずテーマパークに敢然と入場すること。反対に、東京や神奈川など関東近郊の顧客は、悪天候の日は避けて来ないとも。
大量のデータから「データサイエンス」で分析したら、こんな意外と知られていなかったことが発見されたらしく、その若い分析者はなにかの賞状をもらい、表彰されていた。しかし、そんなこと、10年ほど前にわかっていたよ。
そのテーマパークを運営する会社から、入場者に関するデータをわたされ、「経営に役立つなんらかの新事実がほしい」と依頼されたのが2004年のこと。それで3〜4週間ののち統計学的に分析をすませ、正式な報告書にして、また担当者(企画部)に説明もしっかりしている。
ホテルのこと、アトラクションのこと、ショッピング、アジア各地からの周遊旅行のこと、いろいろな角度から新発見や気づいていなかった事柄をみつけ、経営幹部に提出した。だから幹部たちにとって、遠来のお客が悪天候を押して入場するくらい気合が入っていることは、ほぼ全員知っている。それ以外にも多数の発見が統計学によって広く得られている。
ビッグデータだのAIだの大声で叫ぶ割に、実りはまだ小さいようだ。「そんなの知ってるよ」という程度のことだ。でも、これからどんどん、そうした小さな発見が大きな実になっていくことは、私も実感している。いろんな面白いデータが寄せられていること。企業のほうでも専門家の育成に熱が入りだした。若くて元気のよい社員たちを指導していると、近い将来、人工知能によって新しいマーケティングができていくのだろうと思う。
KKD(勘と根性と度胸)で進められてきた従来のマーケティングが、いずれAIやデータサイエンスなどによって大きく変わるのは間違いないだろう。
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