あるとき、次にトヨタ車に乗りたい理由を調査した。日本語で書かれた文章を解読するさい、その理由として用いたコトバの意味は、テキストマイニングで主成分処理した。
　慶応大学名誉教授・槙田仁先生のDOSEFUテストを参考にして、各筆者の心理学的な「人柄」を価値観や行動で数量化。トヨタ車を買いたいと揚げた理由に対する「つながりの強さ(重回帰分析)」をt値として描くと、次のようになった。

従属変数: トヨタ車に乗りたい t値
みずから社会的成功を望み周囲からも尊敬されている人 20.86
周囲には丁寧に優しく語りかけ情緒的に対応する人 2.80
芸術肌で美的感覚があり自分らしい表現のできる人 0.36
マスコミに流されやすく世間の中心を構成する一般人 -0.08
学者ぽく理詰めで筋道をたて合理的な説明をする人 -0.52
世間の裏表を知り尽くしたようで世事にたけ世慣れた人 -0.94
目立たず我慢強い生活ぶりで相手に主張提案しない人 -2.23
くよくよ否定的（できない、ダメ）消極的な話をしがちな人 -2.26
世間体を意識し価格や値引き、他品とコスパをする人 -4.91 コスパ
積極的な人で面白く顧客の気を引く語り口ができる人 -5.15 欧州車
明るく元気で快活、話題にとみ友達が多い人 -6.11 楽しい車

　トヨタ車にのりたい人は「みずから社会的成功を望む人」がもっとも強く、周囲からも尊敬を受けている人だと判明した。トヨタファンは地域の「よき人」なのだろう。反対に「快活で元気のよい人」は楽しい車が好きで、後で判明したが、これはホンダファンであった。

　このように、回答者の用いるコトバで、どの商品が気に入られ購入されているかを判断できるようになったことはテキストマイニングの成熟そのものであるが、この「文は人なり」のように価値観や人柄も測定できるようになった。

　ある商品にたいして意見はどんなものがあるか、それを知ることは第一に重要であるが、どんな人がどんな意見を言っているかを知ることは、これも欠かせない大切な情報となる。対策をうてるからだ。コウしたいと言っている集団はコンナ人々の集まりなのだ、と。
　つまり、こういうことになる。「みずから社会的成功を望み周囲からも尊敬されている人」は、トヨタ車に次のような理由でトヨタが好きだと告白している。右列の数値はt値で、大きいほど傾向が強い。

信頼,できる,メーカ,一番 38.85
安心,乗れる,イメージ,できる 33.54
デザイン,性能,がいい,好き 11.50
故障,少ない,ないので,今まで,聞いて 11.34
作りが,しっかり,聞いて,車体 8.64
世界,機能,高級感,感じる,理由 4.20
高い,製品,整備,感じる 3.62
耐久性,メンテ,安い 1.96
内装,外装,高級感,エスティマ 1.65
環境,やさしい,ディーラー 0.12
価格,安い,種類,品質,高い,最初 -0.79