心理検査はその「対策本」が書かれるようになったら、オワリです。受検者に出題の意図を見抜かれてしまっているので、回答者はこう回答しておけば受かる、合格できるというコツを知っています。なりたい人物になりきって偽装できるのです。
そうした不正を防御するための精密かつ簡単なテストを開発しました。文章完成法テストを組み込んであり、受検者による人物像捏造が困難です。せっかく採用したのにすぐに退職し、指導訓練・教育した分が無意味になったというのはテストが杜撰だからです。
心理検査は2つの重大なカギを持ちます。
一つは、受検して採用された人材がその後、きちんと組織の一員として定着し、そして成長して着実に成員になっているかどうか、検証できることです。採用したはいいが、1年やそこらで退職しているという社員も多い現在の多数の検査法は、実はあまり良いテストとはいえません。このことを検査の信頼性(reliability)といいます。
テストの機能として表現をかえれば、信頼性とは予測といえます。たとえば離職率が高かった企業では、KPIという目標検定分析(回帰)を実施しました。その結果、問題点が明らかになり、着実に定着率の向上として結果が得られています。数量化されて判定した結果が、その後、ちゃんとした結果を生んでいるか厳然と証明されなくてはテストとはいえません。
二つ目は検査の妥当性(validity)といって、しっかりした測定法で人材を評価しているかという問題です。見渡すと、たいがいの検査法は素人が作ったような面白半分、なんだかゲームのようなノリです。その理由は、設問が、目録式または指標式(index)といわれるスタイルだと、受検者にテストの意図を見抜かれてしまうということにつきます。目録式や指標式(例えば「あなたは〇〇〇傾向がありますか」といった設問)は、回答者は検査に受かるように「はい」「いいえ」などの数値を操作し、なりたい自分像に偽装できてしまいます。正しい評価のためには、回答者に見抜かれないような設問を出題することが必要となります。
この心理検査では、2つのカギをきちんと満たせるよう、設計いたしました。
一枚の絵画をみて短い物語を作るという課題を与えます。その書かれた文章を人工知能(AI)で分析し、本人の性格や知能、価値観を分析します。統計学を駆使し、偽装回答ができにくい設問にされています。信頼性と妥当性を両方ともに備えた適性診断がこのSincipal (商標登録出願中) 心理テストなのです。2004年、文章解読AIの特許(第3600611番)を取りました。
シンシパルとは人間の多面的な才能を引き出し分析する適性検査です。大脳の前頭葉(sinciput)のように、考える機能として名づけられました。膨大な量の文章をアッという間に解読し、どんな意味が書かれているか可視化してくれます。従来の退屈なテキストマイニングでは単語の並び方しか提示できませんが、それをはるかに凌駕した能力をもちます。
多数の入社希望者たちが書いたエントリーシートを、瞬時に解読します。この人物は必ず面接すべし、この人は学歴こそ立派だが発想は貧相などと見事に識別します。ビッグデータをたちどころに分析する能力をもっています。虎の巻を読んで書かれた文章か、独自の感性と表現力で書かれた文章かを即座に判断します。個性・没個性を見抜きます。精神面の豊かさ、乏しさの様子を「見える化」します。
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